Insights — 設計
海外研修を「旅行の日程」ではなく「学習のサイクル」として設計する
海外研修の成否は、現地で何を見るかより、出発前から帰国後までをどうつなぐかで決まります。カンボジアで続けてきた13日間の設計を、段ごとに公開します。
文:株式会社IMPACT ASIA
海外研修の企画書は、つい「何日目にどこへ行くか」の表から書き始めてしまいます。けれど、学生にとっての学びは、移動の順番ではなく、問いを持ち、確かめ、言葉にするサイクルの中で起きます。
私たちが運営するキミタビ(カンボジア・プノンペンでの PBL 型の研修)は、13日間を旅行の日程ではなく、学習のサイクルとして組んでいます。
段ごとの設計
| 段 | すること |
|---|---|
| 出発前 | 全員にオンライン英語レッスン(最大8回)。目標を書き、「いまの自分」を記録に残す |
| 現地・前半(プランニング) | 現地の大学生と混成チームを組み、街と村を歩き、住民の話を聞き、現状分析と仮説 |
| 現地・後半(アクション) | 企画を立て、実行し、検証する。英語は6日間・18コマ、その日の活動の準備に紐づける |
| 最終日 | 自分の言葉で、英語で発表する |
| 毎日 | 学び・次の一歩・満足度・体調・写真1枚を記録に残す。スタッフは翌朝までに全員の記録を読む |
| 帰国後 | 1か月後・3か月後・半年後に、同じ設問で聞く |
設計で大事にしている3つ
1. 出発前に「いまの自分」を書かせる
帰国後に変化を語るには、比べる起点が要ります。出発前に目標と「いまの自分」を書いておくと、学生は帰国後に自分の変化を自分の言葉で確かめられます。
2. 英語の授業を、その日の活動の準備に紐づける
英語の授業は、文法を積み上げるためではなく、その日に街や村で使う表現の準備として置いています。午前に練習した聞き返し方を、午後に住民へのインタビューで使う。授業と実践の間を短くするほど、英語は「科目」から「道具」に変わります。
3. うまくいかない時期を、最初から予定に入れる
日ごとの満足度は、企画づくりの山場(Day7 前後)で下がり、発表に向けて上がります(2026年夏、Day1 8.6 → Day7 7.6 → Day10 9.0)。この停滞を避けるのではなく、対話・振り返り・実践を通して乗り越えるところまでを、13日間の設計に含めています。詳しくは「研修の『谷』を設計に組み込む」に書きました。
学校で企画するときの問い
- 出発前と帰国後に、同じ問いを学生に聞いていますか
- 現地の活動の中に、学生が自分たちで決める場面はありますか
- 学生が最後に何を発表するかから逆算して、日程を組んでいますか
キミタビの日程表や、学校の授業に合わせた組み方の例は、資料でお送りしています。
